【パターン言語の簡易考察】妖怪ウォッチに学ぶ課題解決のPDCA
もうすぐ夏休み。
特に全盛期の頃は、お子様がいる方は妖怪ウォッチのイベントいらっしゃったた方もいるかと思います。
あれ、大人が見てもよくできていると思います。
作成者がどこまで意図しているのかはわかりませんが、妖怪ウォッチの構造は「パターン言語」と呼ばれる考え方と親和性が高いと思います。
その考察を書いてみたいと思います。
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パターン言語とは、もともとは建築家のC・アレグザンダーが提唱した考え方で建築・都市計画にかかわる理論です。
『パターン』とはアレクザンダーによれば、
【ある文脈で繰り返し起きる問題を解決する方法。 その方法にはいくつかの制約が課せられているかもしれない。 またその方法には分かりやすい名前がついている。 他のパターンとの関連も示される】
と定義されます。
つまり、暗黙的な方法論に名前をつけ可視化して共有することです。
アレグザンダーは 、
【単語が集まって文章となり、詩が生まれるように、パターンが集まってランゲージとなり、このパタン・ランゲージを用いて生き生きとした建物やコミュニティを形成することができる】
と言いましたが、つまりこれは方法論の可視化です。
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近年、アジャイル・スクラム方法論を用いるIT人材の間でもパターン言語を重視する人が増えています。
プロジェクト推進の方法論の可視化として、また特にプロジェクトで重要なコミュニケーション方法論としてその重要性が着目されています。
代表的な本の一つにJ・コプリエンの「組織パターン」があります。
記載されていることは例えば以下のようなことです。
【パターン:賢い愚者】
⇒『致命的な課題が、簡単に公言されないようであれば、「賢い愚者」というロールを育てて、誰も言いたがらないことを言ってもらいます。』
【パターン:細かいリスケをしない】
⇒『スケジュールが遅延していて、少し時間が必要だったら、「一度だけ」「大きな」リスケを行います。細かいリスケを不定期に行って、プロジェクトを不安定にしてチームの士気を下げてはなりません』
【パターン:誰か一人を犠牲にする】
⇒『ちょっとした余計な作業が現れてしまったら、誰か一人に割り当て、それを終わらせてもらいます。』
【パターン:成功報酬(上記「誰か一人を犠牲にする」とリンク」】
⇒『成功したいなら、成功へ導くふるまいに報酬を与えなければなりません。さもないと、大切なふるまいが埋もれてしまい、成功を測るのが難しくなってしまいます。
それゆえ、チームと個人の両方に対し、様々な報酬の仕組みを確立します』
などです。
ここに書いてあることは、暗黙のうちの方法論ですがそれに名前をつけ、可視化して共有するということです。
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さて、ここで妖怪ウォッチに関して考えて見ましょう。
妖怪ウォッチのストーリーの基本的な流れは、学校や街中でおかしなことがおき、おかしな事になっている人に主人公が妖怪ウォッチをあてて調べてみると妖怪が取り憑いているのが浮き彫りになり、それが原因なので仲間とともに妖怪を倒して問題解決するというものです。
ちなみにアニメの王道を踏襲し、倒すか話し合いで解決した妖怪は仲間になります。
妖怪ウォッチの構図を図示すると以下のようになります。
まず
①「変な状況になる」は問題事象の把握
②「妖怪を発見する」は原因と事象の原因究明
③「名前や機能を知る」は、ここが大事ですが、妖怪ウォッチをあてて原因(妖怪)を可視化し、それに名を付けパターン化してすることで、みんなで認識共有をします。
(例:妖怪マンヲジシ(万尾獅子):取り憑かれると満を持することばかり考えすぎる)
④「友達妖怪の召還」で問題の原因となるパターン(妖怪)に対する対応策の検討
⑤「妖怪を退治する」は、問題の原因(妖怪)への対応実施を行う(対話or倒す)ことでそのパターンを組織として克服します
⑥「妖怪を友達にする」は、そのパターンを組織のものとして共有し、自分たちの武器にします。
・・以後また繰り返し、PDCA回していきますが、2周目以降の④⑤では、前回の⑥で仲間になった妖怪(自分達のものになったパターン)が自分の武器になりますので、組織はそのプロセスの繰り返しで強くなります。
そして、「問題は妖怪○○のせいだ」とパターン化することで、 悪いのは特定の人そのものや、その人の人格ではなく妖怪のせい(問題パターンのせい)にでき、その妖怪を倒すこと(問題原因を解決する)ことに専念できます。
(例Aさんが悪いのではなく、Aさんに取りついた妖怪「マンヲジシ」が悪いから、どうすれば妖怪退治できるか考えようぜ)
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パターン言語による学習は、人のせいにするのではなくパターンと向き合い、
パターンに名をつけることで可視化でき、そのパターンを克服し武器にすることで
組織の強化につながるPDCAの連続です。
教育や成長を考えるときに、妖怪ウォッチを題材にしながら「パターン言語」を用いて組織の強化と考え方の共有を図るという考え方を試してみるのも、一つの良い方法ではないでしょうか。