【ホワイトカラー・エグゼンプションの簡易考察】詳しいはずの人の話を聞いたら話がおかしくなったの巻
ホワイトカラー・エグゼンプションとか残業ゼロ法案とか、最近では脱時間給とか、人と立場によって言い方も捉え方も異なりますが、要は労基法改正に関する話ですね。
この法案の疑問点について、新人社員と彼の大学時代のゼミ教授の会話をもとに考察していきましょう。
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・湯鳥背 大 (ゆとりせ だい 地方中堅私大から中堅の一部上場企業に入社した新人:以下「ユ」)
・老師 孝尚(ろうし こうしょう 私立小から付属大学法学部に上がり、なんとなく院に進んで気づいたら教授になる 以下「教授」)
帰省した新人が、教授の家に遊びに行った時の会話です。
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・教授: おおユトリ君、会社はもう慣れたか?
・ユ : 湯鳥背です!きついっす、毎日残業です。
・教授:何を甘いことを。いいかい、残業とかいうけどもうすぐ日本は残業代すらなくなるんだぞ
・ユ:そうそう、それニュースで見ました。残業代ゼロ法案でしょ?
・教授:違う、何も知らない人ほどすぐマスコミに騙されて「残業代ゼロ法案」というけど、あれはホワイトカラー・エグゼンプションというものだ。日本の企業競争力向上のために必要なんだ。
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■労基法の成り立ち
・ユ:企業の競争力?どういうことですか?
・教授:そもそも、まず日本の労基法の成り立ちから説明しよう。
労基法の授業は受けたことあるか?何、寝てた?・・・よく単位取れたな。
まず、労基法を見てみると、結構、坑内労働者とかの話が出てくる。
近代労基法の制定時は、主に肉体労働者や工員などを想定した条文が多い。
これらは残業時間という観点でいうとどういうことが言える?
・・て、お前、人が話しているときにスマホ見るな!
・ユ:あ、いえ・・学生時代の授業みたいだなと懐かしいあまり、授業中と同じことしちゃいました。
で・・えーと、そうですね。つまり、そういう人たちは働けば働いたぶんだけ生産するんですよね。
・教授:そう、昔の労働者の多くは誰であっても普通の人なら1時間働いたら1時間分の生産をするといわれる仕事が多かった。
これは、経営者から見たら労働者が働く分だけ売り上げが上がるのと同じだ。そうであれば、残業代はコストなんだからもし残業代なんてなければ従業員を働かせれば働かせる分だけ売り上げと利益が伸びるわけだ。
これではいかんということで、ちゃんと残業したらその分は追加でお金を払いなさいというのと、1日の残業や月の残業時間には制限があることを定めたのが労基法の趣旨だ。
つまり労働者保護だ。
・ユ:でも、いまどきはそれ以外の仕事も増えましたよね。
・教授:そう、冴えてるじゃないか。そういう単純労働者を前提とした労基法は今の時代にはなじまないんだ。だから、法を変えようというのが今回の話だ。
・ユ:・・・どういうことですか?
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■現代の労働形態と残業代の観点
・教授:いいかね?たとえばデザイナーが素晴らしいレイアウトを考えるとか、営業マンが画期的な宣伝方法を思いつくのは、労働時間と関係ないだろ?1時間で思いつくこともあれば10時間考えても何も浮かばないこともある。そして経営者からしたら労働時間はどうでもよくて、従業員が出したアウトプットが売り上げにつながるかどうかだけが大事だろ?
・ユ:まあ、そうですね。10時間何も考えられない人より1時間で成果出したほうが経営者的にはうれしいですね。
・教授:そうだろ。現在は労基法があるから長く働いた人に残業代を払わないといけない。法律守らないとすぐブラックだのなんだの言われるからな。
でも、炭鉱労働者なら働いた分だけ成果出してくれるけど、こういう、いわゆるホワイトカラーだと労働時間が成果につながるとは限らない。むしろ、長く働かれる分と残業代が飛ぶだけなんで、早く仕事を片付けて成果を出した従業員のほうが経営者のためになる。
そういう従業員のほうが残業代もらえない分収入が減るのはおかしいというのが今回の法改正検討の背景にある。
しかもだ、安倍首相の素晴らしいところは、それ以外の経済効果もちゃんと考えていることなんだ。
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■今回の法改正の趣旨
・ユ:どういうことですか?
・教授:今回の法改正の趣旨を挙げると3つだ
①育児などで早く帰る必要がある女性の社会進出の促進
②残業代が出ないことにより、いかにして早く帰るかを自主的に現場で考えることによる効率性の向上
③実態に即して成果で評価することにより、正しい報酬評価が行える
これがさっき言った話だな。
ちなみに、この制度の適用は該当者の条件が限られている。
(1)年収1075万以上
(2)組合が個別に認めたもの。
いずれも本人が認めた場合に限るわけだ。
つまり、誰でも構わず無理やり残業代ゼロにするわけじゃない。
むしろ、適用されるのは一部の人だ。
よく考えられていると思うぞ。
そして、これを実現することで日本の産業競争力の向上につながるわけだ。
・・なんだその疑問そうな顔は?
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■女性を持ち出す胡散臭さ
・ユ:女性の社会進出ってどういうことです?
・教授:ああ、今も育児短時間制度は法であるが、その分給与下がるだろ。
それに、周りも白い眼で見るものだ。また早く帰りやがってみたいなね。
そうすると、仕事も評価が低い簡単なものしか与えられないため、
出世とか賞与評価が悪くなるだろう。
でも、子供の送り迎えとかでどうしても早く帰らないといけない。
本人の能力が高いのに育児で時間を取られて評価されないのは不公平だ。
そこで、たとえば子供の送り迎え後に家で仕事をするなど、働き方はどうでもいいから 成果を出せれば評価をするという仕組みにすれば育児をしながら女性が評価されるわけだ。
実に女性にも配慮した素晴らしい制度ではないか。
・ユ:あの、うちの会社、今度とあるマスコミ系サイトで「働く育児女子に優しい会社」って特集で取り上げられるんですよ
・教授:働いていて育児までしていて女子ってどういうことなんだ?
・ユ:いや、そこを私に言われても・・
・教授:で、それがどうした?
・ユ:はい、うちの会社、育児短時間勤務制度に関して、制度利用しても所定賃金は変わらない制度ですし、職場結婚が多いのですが夫婦交代でパパママ育休制度などを活用してしっかり育児休暇活用をするケースが多いし、会社も推奨しているし、従来型のフレックス制度に加えて全部在宅勤務や部分在宅勤務も認めています。
そういうのが、育児女子に優しい会社らしいんです。
・教授:ぐぬぬ
・ユ:ぐぬぬってなんすか?
・教授:いや・・で、それが何だね?
・ユ:いや、今もそういう制度がある会社があるんです。少なくともうちの会社は。うちもほかの会社の就業規則パクってるんで、ほかの会社もそういうのは結構あるはずなんですよ。
取材の方も「以前取材した会社も似たようなことやっていましたが流行ってるんですかね?」といわれてました。パクり元に取材したんだから当たり前だろと思いますが。
・教授:で・・?
・ユ:いや、つまり現行法制度でもそういう就業規則を作れるわけで、現行法が邪魔しているわけでもないんで今回の法改正関係なくないですか?
ああ、もちろん、在宅でもなんでもちゃんと成果を出せば評価されますし、子供二人生んだ女性役員や部長もいますよ。
・教授:・・・(正しいだけに面倒くさい質問だな)
まあ、女性の話は、飾りで盛り込んだだけだ。女性に優しいというほうが国民受けするだろ。
地球と女性には優しくする。
意味が分からなくてもとりあえず優しくするといっておく。
これ、政治の鉄則だよ
・ユ:・・・・・
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■工数換算の基準が変わるだけ・効率化はマネジメントの問題
・教授:まあ、そんなことより大事なのは日本の生産性と効率の向上だ。
・ユ:どういうことですか?
・教授:いいかね?君の会社にもいるだろう。何にも成果出さないのに残業だけして残業代稼ぐようなやつ。中には、生活残業といって生活費を稼ぐためにわざとダラダラ残業するやつもいる。
こういうやつらが、真面目にテキパキ仕事して早く仕事終わらせるやつよりも給料高いのはおかしいだろ。
そこで、残業代を無くせば、残業することは無意味だからみんなどうやれば早く帰れるかを考えるだろう?
現場に自主的に効率化を考えさせる。実に素晴らしい
・ユ:あの・・・確かに生活残業する人も中に入るかもしれません。
そういう、仕事も無いのに職場に残る人には、残業するような仕事がなく残る必要性もないことを明確化した上で「帰りなさい」という業務命令をすればいいんです。
一方で、過労死するほど残業している人は、今でもどうすれば早く考えれるか考えて、でも帰れないから死ぬほど残業しているんです。
・教授:そんなのは一部だ。それに、もっと考えれば何かあるはずだ。
・ユ:外資のコンサルティングファームや外資金融の働き方知っていますか?
あの人たち、朝も夜も休みもなく働きますよ。
あの人たち、そもそも徹底した効率化と合理主義で動く集団です。
それに地頭の良さは言うまでもありません。
何より、残業代がないと生活が成り立たないなんてことはありません。十分もらっています。
それでも、毎日異常なほど長時間、頭フル回転させて働いています。
そういう人たちが、残業代ゼロになったから早く帰れるようになるんですか?
・教授:・・・それも例外だ。
・ユ:というかですね、教授の前提は、与えられる作業量は一定だから効率化を考えれば早く帰れるというように聞こえます。
でも、考える仕事なんて山ほどあるんです。
1個解決したら、次の課題があります。全部課題を解決したら今まで手を付けていなかったより改善できる点や、今までに無い新たな取り組みの検討が待っているんです。
仕事がなくなって暇だから帰ろうなんて、そんな状況は「考える人」にはないんです。
・教授:・・ふむふむ、そうなのか。
・ユ:そうなのかって・・(素人かよこいつ)
で、管理者なら手が空いた優秀な人にはどんどん新しいことを考えさせたいんです。
使える時間が限りないならいくつかのプロジェクトを兼任させたいんです。
通常、その組織の平均的な能力を持つ人が1日8時間で行える業務量を1人日と数えます。
製造業的な発想ですが、考える仕事でも業務量はその単位で見積もることが多いです。
タスク量とリソースの総人日とタスクの前後関係をよく考えてスケジュールを引きます。
いくらでも残業代気にせず部下を働かせても法に抵触しないなら、1人日の基準を8時間から16時間とかに読み替えたくもなりますよね?
つまり、残業代をゼロにしたことで、確かに1か月あたりの遂行タスク量は増えるでしょう。
全体で見たときに「生産性」はともかく「生産量」は増えるでしょう。
タスクが増えることで、結果的に生産性を向上させないと死んでしまうという危機感から効率化を考えるケースも増えるでしょう。
でも、それは教授が言った理屈とは全然別物ですよね?
生活残業ができないから残業しないとか、固定量の仕事を早くこなして暇になれば早く帰れるとかそんな話じゃないですよ?
・教授:・・・・・
もっと言えば、効率化なんて国から法律で決められて考えることじゃないです。
早く高品質なアウトプットを出すことはプレイヤー層が当然行うべきことであり、
そのための仕組みを考えるのがマネジメント層の役割です。
人間が健康と頭の回転を維持しながら働き続けるためには超過労働前提にしてはだめで、無理のない労働時間を計画するのもマネジメントです。
今回検討中の法改正がないと業務の効率化が図れないわけではありません。
マネジメントの問題を法律に責任転嫁する意味が分かりません。教授はどう考えます?
・教授:・・ぐぬぬ
・ユ:だから、ぐぬぬってなんだよ。
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■そもそも、誰を対象にして目的は何だっけ?
・教授:まあ、そう熱くなるな。さっきも言っただろう?
(1)年収1075万以上
(2)組合が個別に認めたもの。
これだけが対象だ。該当する人なんか多くないよ。
・ユ:あの、突っ込みどころ満載なんですが1個ずついいですか?
・教授:(ビクっ)ええ、構いません
・ユ:なんで急に敬語なんだよ
・・・・あの、まず「年収1075万」の「年収」ってなんですか?
たとえば、基準内賃金+賞与の固定額で年収600万台の人が、毎月残業80時間とかして結果的に基準外賃金含めて年収1075万超えたとします。
その人が、1075万の壁を越えたので翌年は何時間残業しても残業代ゼロっておかしいですよね?
それに、そうなったら1075万の壁越えないように自主的にサービス残業で調整しだしますよ。
それおかしくないですか?
・教授:・・・そういうことは後で考えればいいと思いマス
・ユ:だからなんで敬語なんだよ・・まあ、わからないならいいです。
いったんは残業代なしで考えると仮定します。
次に、今でも労基法の38条や41条によって現行法でも管理監督者は残業代の概念がないケースが多いです。
管理監督者以外で残業代抜きで年収1000万行く人が労働者中の何パーセントいると思います?
外資のコンサルティングファームや外資金融でもマネージャ未満で残業代抜きの年収1075万なんてきわめてレアですよ。
そう思いません?
・教授:まあ、ほとんどいないだろうね・・
・ユ:あと「組合と個別に合意を結んだ」といいますけど、てことはこれ、労働協約と同じで、組合がない会社や、あっても、ユニオンショップ制をひいてないなどで自由に組合から抜けて非組合員になれるから組合に入っていない従業員にはそもそも初めから適用されないということになりますよね?
・教授:そうなるね・・・
・ユ:いまどき日本の組合組織率なんて20%以下ですよ。
つまり、日本人の80%は今回の法改正の対象外ということですか?
・教授:うーん・・そうなるかなぁ・・まあ、そこはそう、組合がない会社は労使協定に読み替えるとかしてだね。
・ユ:そんな大事なことを簡単に読み替えるなよ!
・教授(ビクっ!)
・ユ:ここで私が言いたいのはですね・・先ほど教授はこの法改正が日本の産業競争力を向上させるといいましたよね?
・教授:はい言いました(もう勘弁してくれ、なんだよこいつ)
・ユ:日本の80%の労働者が関係ない法律が本当に日本の産業競争力を向上させるんですか?
・教授:・・・
・ユ:まあいいです。ほかにも言いたいことがあるんで、この件は後ほどまたお話しします。
・教授:・・・(安倍さんが言い出したことをなんで私が責められるんだ)
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■組合は力を持つべきか
・ユ:そうそう、組合組織率の低さの話をしましたけど。
教授は、組合って何だと思います?
・教授:それは・・労働者の権利を守るために会社と交渉してくれる・・
・ユ:なんですか、その教科書的な答えは。
・教授:いや、わし・・教科書の世界しか知らないし
・ユ・・・まあいいです。日本の組合にはものすごい強い組合があります。
ヤクザ並みの怖さで会社と戦います。
社長を自殺に追い込む組合もあります。
そういう組合の中には、組合活動それ自体が自己目的化している組合も多いです。
もはや、会社がどうなろうが組合の目的のために戦います。
労働者のためではなく組合のために戦います。
組合のいうことを聞かないで会社のために働く従業員の会社員生命を抹殺してでも
組合は組合のために戦う、そんな組合もあります。
・教授:ああ、聞いたことある。
・ユ・・・私はそこまで行くと、もはや本末転倒だと思います。
ちゃんと会社のことを考えながら社員生活もバランスよく考え判断するのが理想形だと思います。
一方で、それが逆方向に行き過ぎると今度は御用組合が出来上がります。
組合幹部であることが出世の道という会社の場合、組合はむしろ会社のために従業員を統制し始めます。
ユニオンショップ制みたいに、組合から除名されたら会社も辞めないといけない制度の会社だとこれ厳しいですよ。守ってくれるはずの組合が最大の敵になりえるんですから。
・教授:ふむふむ。
・ユ:ふむふむじゃねえよ。で、そういう組合から「残業代不支給に同意しろ」といわれたら断れますか?
・教授:それは、裁判に持ち込んだら勝てるのでは。
・ユ:もちろん裁判に持ち込んで戦えば戦えるでしょう。
でも、そんなに強い従業員だらけじゃないんですよ。
私は、「組合と同意するのは本人だから無理やりじゃない」という意見は机上の論理だと思います。会社のことを考えたらそういう組合が出てもおかしくないでしょ。
そうなったら、従業員のことを守ってくれる組合は会社をつぶしても組合活動を行う意思がある組合だけという変な時代になりますよ。そのほうが余程産業競争力の疎外になります。
・教授:・・・・
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■労務管理と賃金計算は同じではない
・ユ:続けますね。先ほど、現行でも管理監督者は残業代が出ないといいました。
でも、本来は労基法38条だろうが41条だろうが、深夜分は労基法適用外とはしていません。
つまり、管理監督者であっても本来は深夜残業は払われるべきなんです。
深夜分だけ勤怠集計するのが実務上面倒だし、管理監督者は非組合員だから組合に言われることもないので多くの会社で放置しているのが実態というだけです。
・教授:そうだね。
・この法律改正が行われると、管理監督者以外の、法適用対象の労働者は深夜の労務管理適用外だと法律が宣告するわけですよね?
・教授:そうなるね。
・ユ:国が過労死防止法を適用しようとしてるのにおかしいですよね。矛盾ですよね。残業代の観点と健康配慮の労務管理は別ですよ?
だからこそ、管理監督者も法は労務管理を義務付けているのになんで今回の法律はそこを放棄するんです?
・教授:・・・
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■まとめ
・ユ:教授、先ほども言いましたけど、この法律の話を鵜呑みにしたら適用対象者は労働者中の少数ですよね?
本当に、そんなことが産業競争力の向上につながるんです?
それに、賃金の正当な評価とかいいますけど、管理職未満で残業代なしで年収1000万超える人なんて賞与の比率が大きいですよね。評価は出した成果をもとに賞与で思い切り差を付ければいいんじゃないですか?
・教授・・・
・ユ:私はね、この法の目的には、今まで書かれていない目的があると思います。
・教授:何だね?
・ユ:当たり前ですが、日本の賃金水準を低下させることでの海外との競争力の向上です。
日本の賃金水準が高いことが問題だと言う前提に立っているんです。
一度法を作った後で適用対象基準をどんどん変えて対象者を増やせばいいんです。
そう、教授が言うように「組合との合意」の部分を労使協定とか、個別の労働契約とか言い換えてね。
もっと言えば、適用基準は「政令で定める」「省令で定める」のようにしておけば、基準を変えるのに一々法改正の必要もないですよね。
そこまでして、適用対象範囲を広げて初めて「産業競争力の向上」と言っていた意味が分かるのです。
逆にそうじゃなく、説明した内容が法改正の目的の全てだと言うなら、その目的の達成と今回の法改正の間の必然性を感じません。
元々言っていた目的の達成は法改正関係なく行えるはずです。
・教授:ふむう、そうかもしれないね。
・ユ:軽いな、あんた・・で、まずそれが目的ならそう言うべきなんです。
全然関係ない目的だけを説明し、本来の目的を言わないその不誠実さが私は許せません。
・教授:いや、私は安倍さんじゃない。私に怒られても・・
・ユ:さらに言えば、本当にそれで産業競争力が向上するんですか?
日本の「ホワイトカラー」の大半は、スーツ着ているだけで労働時間集約型の労働者です。
その労働者の賃金水準を残業分削っても、根本的に賃金水準が安い国には勝てません。
一方で、国内は再びデフレ化するのは容易に想像がつきます。
一人あたり労働時間の増加と一人当たり賃金の低下が予想されますが二つ合わせて日本の多くのサラリーマンが疲弊します。
あと、内需型の産業で賃金水準下げても国際競争力も何もありません。
例えば日本の居酒屋の賃金水準が高くて客単価も高いからといって安いフィリピンの居酒屋に行くなんて選択肢なんかありません。
この政策は、たいして競争力の向上にはつながらないくせに、国内の体力だけを奪う気がしてなりません。
つまり、メリットが薄いくせにデメリットが多いと言うのが私の見解です。
・教授:なんかそう思えてきたぞ。
・ユ:そんなことするよりも、労働時間集約型の日本の収益構造を付加価値型に持っていくことを考えたほうが余程健全ですよ。
・教授:うむ、そうだ。安倍さん、そうすべきだ。うん!
・ユ・・いや、私は安倍さんとかいう以前に、あんたの軽さにドン引きですよ。
あんた本当に法学部の教授か?
・教授:いや・・わたし、ずっと同じ教科書を読み上げるだけだし。
憲法みたいにそもそも改正が現実的にないものとか、行政諸法みたいに改正が少ない法律は楽でいいんだよね。労働諸法は毎年のように改正があって苦手なのよね。
・ユ:コピペ教授かよ!
・教授:ところで・・ユトリ君は新しい配属先はどんな仕事なんだね?
・ユ:人事部です。